●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、かつてのじぶんの幸せに気づきました。
シリーズ 住めば都 7
おかずの差し入れ
最近、昔のママ友と交際が復活。そしておかずを頂くことがある。私が恐縮して
「悪いわねえ」というと、「いいの、いいの、これ、私の趣味だから」と言って、
ときにはお弁当にまでにして頂いてしまう。
私は一人暮らしになってからというもの、つい栄養バランスを考えただけの簡単
なもので済ませてしまい、めっきりおかずの品数が減っているのでとても有難い。
自分のための料理って面倒くさいもの。今思うと、家族がいたときの料理にかけ
ていた情熱が懐かしい。
家族の好みや健康状態や栄養バランスなど考えて良くやったものだと思う。
ときには、毎日、毎日のことで面倒くさいなあ、嫌だなあ、と思うのだが、私の
作った料理で命をつないでいると思えば、献立を考え、いかにおいしくなるかを
考え、台所に立ったものだ。それが、ささやかな幸せなことだなんて考えもせず
に…
ところが最近つくづく思うのだ。
料理を作って誰かが食べてくれ、おいしいと言ってくれる人がいるのはなんと幸
せなことだろう、と。
そこには期待される幸せ、頼られる幸せ、人に喜ばれる幸せがある。
そして気がついた。
老いと共に、この3つの幸せはどんどん遠のいていくのだなあ、と。
秋寒し一汁二菜の晩ご飯