9/28のしゅちょう
            文は田島薫

(人気俳優の自殺、について)


先日の若い人気男優の自殺に続き、また若い人気女優が自殺した。

あんなに人気があって演技も評価されてる人物がなんで自殺を、ってわれ

われ一般人は疑問に思うわけなんだけど、溌溂と元気に演技して私生活も

幸せそうに見えても、われわれには見えないことがあるのだ。

だって、彼らは自分以外の人物の人生をそれらしく再現する技術をみがい

てるわけで、感情移入してその人物になりきる努力さえしてるのだから、

役のたびに入れ代わる精神状態を私生活で管理していかなくてはならない、

っていういわば大変なストレスにを常に抱えているのだ。

とは言ってもそのストレスを楽しく変換してゆく手だてを持ってる者なら

問題ないわけで、ストレスはどんな職業にもあって、それぞれがそれらを

色々な精神修業やら、友人との会話やらで、なんとか乗り越えてるんだけ

ど、一般にも地位が上がるほど責任も増えるわけで、実際の自分の能力と

現実とのギャップを埋めることが不可能と感じた場合などのストレスはだ

れでも経験がありそうで。

ところが、一時そう思いつめても、なんとか努力を重ねてるうちに不可能

と感じてたことが知らぬまにできるようになってたりもするわけで。

そういった努力のきっかけになる、って点ではストレスは有効なはずで、

そういった一般的な努力の人は自己能力を客観的に見ることができる点で

はそのストレスを感じることが長所とも言えるのにくらべ、自分の能力を

過大評価しすぎてそこにあぐらをかいて努力せずに威張ってるだけだと、

当人は幸せに感じてても、周囲は迷惑だろう。

だから、一番理想的なのは、自分の能力の可能性にはある程度の自信を持

ち、現実の能力の不足もきっちり理解し、努力すれば必ず成功するのだ、

って確信を持てれば、ストレス自体が手ごろな相棒のような感じになるか

もしれない。

自殺した人気俳優は、その世間的評価と自身の評価にギャップを感じてい

て、それを埋めあわせる努力の仕方を間違えたのかもしれないわけで、イ

メージに傷をつけないために、人前に出ないように気をつけたり、出て、

へとへとに気疲れしてしまったりで、孤独感を増す、ってことは多いに考

えられるわけで、ストレスはだれにでもある、って考えて、自分の間抜け

な失敗や馬鹿話しも笑えあえる友だちを持てるといいのだ多分。


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