7/6のしゅちょう 文は田島薫
(安藤忠雄さんの生命力、について)
あの世界的建築家安藤忠雄さんは、大阪にこのほど建築費全額私費でコンク
リート3階建て1万8千册収蔵の子どもの図書館を建てた。ほとんど本を読ま
なくなった今の子どもたちに意識改革を広めよう、って気持ちからのようだ。
彼自身は貧しい家庭環境から独学で自分の仕事を精力的に追求し続けて幾多
の名建築を建て、今でもそれらを現役で継続中なんだけど、2014年までに胆
のうガンと十二指腸ガンと膵臓ガンになり、胆のうと胆管と十二指腸と膵臓
と脾臓の、5つも内臓を摘出してるんで、ふつうの人間なら寝込んで弱って
行く自分を悲観して過ごすだけになっちゃうんじゃないか、ってぐらいきび
しい体調のはずなのに、安藤さんは、多分しんどさの中、80才間近の今も自
分の仕事をやり続けてる、ってわけなのだ。
で、それを知ってわかるのは、人間の体は臓器のよっつやいつつなくても残
った臓器などでやりくりしてけっこう生きられそうだ、ってことと、そのた
めには、多少しんどさを我慢しても、体は動かし続けるのがいい、ってこと
なのだ。
世間の常識に縛られない安藤さんの考え方と生き方は、建築だけでなく、医
学や治療の一般常識をもくつがえして、世界にアピールしたのだ。
だから、年を取って体が弱ってきて、動くのが億劫な気がしたり、ちょっと
なんかの病気になって、医者に、もう先はあんまりありません、などと脅か
されても、気にしないで動き続けるのがいいのだ。
そういえば、別な人の話でも、医者に見放された末期ガンの中高年男性が、
里山の自宅周辺に桜の木だったかを一帯に植えることを志して何年もやって
るうちにガンは自然消滅した、ってテレビで見たことがあるから、そういっ
た人の意志からわく生命力自体は多分それほど特別なことでもないのだ。