●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、日々を楽しくする方法のひとつを発見しました。



シリーズ 一人暮らしになった(7)

ミニトマトと濃厚接触


巷では、ステイホーム、巣ごもり、自粛生活などの言葉が飛び交い、私も家にいる

ことが多くなった。

話し相手もなく一人でいるのは寂しい限りである。

そこで、思いついた。

「そうだ! トマトを育てよう!」

早速、近所の花屋でビニール鉢に入ったミニトマトの苗を3つお買い上げ。

家に帰って大きめのプランターに移し替え、たっぷり肥料と水をあげて、陽当たり

のいい場所へ。

それからである。私とミニトマトとの濃厚な付き合いが始まったのは・・・

毎日の水やりはもちろん、背が伸びれば添え木をし、余計な枝は取り除き、黄色い

小さな花をたくさんつけたときは、「がんばれ!」と声をかける。

一日とて離れない。

そして6月、ついに真っ赤な宝石のような実がなったのだ。

私は「わー、すごい! よくやった!」とルビーのような実を撫で、褒めあげた。

それからずっと、ミニトマトはけなげに毎日実をつけた。

もぎ取るたびに撫でて、感謝し、口に入れる。

トマトとの濃厚接触はひと月続いた。

一人暮らしの手抜きのインチキ料理に彩りを添えてくれたミニトマト。

ありがとう。

初めてのトマトづくり、一生忘れないだろう。


  つつましく葉陰のルビーミニトマト


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