7/13のしゅちょう
            文は田島薫

(認知症、について)


先日テレビを見てると、番組の企画で脳検査を受けた漫画家でタレントとし

ても独自キャラクターで人気のエビスさんが軽い認知症との診断をされた。

マネージャーによると、仕事で泊まってるホテルの部屋を自宅の部屋と勘違

いしたり、幻覚を見たりするそうで、マネージャーとしては心配だろうし医

者にかかることを勧める気持ちはわかるんだけど、私の素直な感想としては

さほど心配いらないんじゃないかな、ってとこなのだ。

多分、私自身それに近いような勘違いを若い時からよくしてたせいなのかも

しれないんだけど、たとえば、外出から事務所へ帰った時、アシスタントか

ら、さっきだれそれから電話がありました、って聞き、多機能でもなんでも

ない昔のダイヤル式黒電話の受話器を持ち上げて、もしもし、って言ってし

まったり、10年以上前のできごとを一瞬2〜3年前のことと錯覚したり、仕

上げた仕事の原稿を届けにバイクで30分ほどで取引先へ着いた時、バッグの

中にあるはずの原稿がなくて、忘れて来たことに気づいたり、なんてことは

何度もあったし、そんなことは子どもの頃からよくあったのが、大分気をつ

けて減ってきてる部分もあるけど、ささいな勘違いは今でも日常茶飯事だし、

私ももし診察されたら認知症です、って言われる可能性もあるわけで。

もちろん、重症化して間違いを指摘されてもさっぱりそれを理解できない、

ってことだと他人とのコミュニケーションに支障が出てしまうだろうけど、

そういった自分の認知不良の傾向を自覚してて、気をつけたりその都度修正

できれば社会生活は送れるはず。

社会生活で一番大事なのは、周囲の人々の迷惑にならないように気をつけた

り思いやりを忘れない、っていったことなんで、いくら頭脳明晰でてきぱき

と物事の処理が瞬時にできても、その大事な要素に意識がなかったらば、社

会生活がうまくできてるとは言えないわけで。

精神も肉体と同じで、絶対健康状態、ってものはなくて、だれでも、少しづ

つ不全な部分を持ってるわけで、どっからが病気だ、って線引きできるもん

ではないのだから、だれでも、自分は軽い認知症だ、って思って、体と同じ

ように頭脳や精神のリハビリを習慣化して謙虚に生活するのがいいのだ。


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