5/4のねこさん 文は田島薫
ニケのプチ家出
先日、家人と私がベランダで夕食をした時、ニケはそばでつきまとってたん
だけど、食器を片付けた後、見てみると残してあったディレクターズチェア
の上の座ぶとんにニケが丸くなってくつろいでた。
私は無言で座ぶとんを持ち上げニケを下に軽く放ったら、ニケはそのまま階
段を下りて行ったんで、外へ出たら、となりのアパートの窓の下にニケがい
て、さかんに窓明かりにジャンプして飛びつこうとしてたんで、呼び止め、
持ってったブラシで体をこすりながら、さっきはわるかった、って言った。
なな、なんでだ、なんで、かあい〜ぼくを放り出すんだ、そ〜かそ〜か、そ
〜だったのか、ぼくはここんちじゃ、ほんとはいらない子だったのか、そ〜
だったのか、じゃ、い〜や、も〜ここんち出て行こ〜、おしっ、じゃ、きょ
うから、ここんちの子になろ〜、よいしょ、ってこの窓ん中へ飛び込めば、
い〜んじゃね〜の、って、ど〜も、無理そ〜だね〜、つってると、あ、ぼく
を放り投げたあいつが来やがった、なんだなんだ、お、ぼくをなでるんかい、
なんだって、なんだかあやまってんのかな、じゃ、い〜よ、ゆるす。