映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史から、今急に注目されてる40年前の日本映画の紹介。
パンデミックと言えば
新型コロナウィルスが日本でも猛威を振るっている中、1本の映画が話題となっている
(一部で)。40年も前の『復活の日』だ。私が映画館に足繁く通い始めた頃の作品で、
『ロミオとジュリエットのオリビア・ハッセ―が出演した大型映画として覚えている。
ただし、観てはいなかった。数年前、東京国際映画祭で4Kリマスター版が上映されたこ
ともあり、今回観ることにした。
いや〜、驚いた。話題となるのも十分頷ける。現在を予言しているかの様な内容ではな
いか。まずは共通点を挙げてみよう。
@英語タイトル(Virus)が示す通り、ウイルスによるパンデミック。
Aウイルスの拡大画像が、新型コロナとそっくり。
Bイタリアで重症化する。
C始めは風邪による肺炎と診断される。因みに「イタリア風邪」と命名されていた。
D医療崩壊の発生。
本筋意外に驚いたのは、なんと英国軍がドローンを飛ばして東京を観察していたことだ。
そしてもう一つ、どうでもいいことだけど、草刈正雄の英語がネイティブ並みだった!
どちらかと言うと、日本語ネイティブのハーフだとばかり思っていたのに…。
ホンマもんのバイリンガルだったのか。
156分の内容は、ウイルスによる世界的パンデミックのみならず、国家間問題、核問題、
種の保存(男女比の均衡が崩れたら…)、巨大地震など、複数のテーマが盛り込まれ、人
類は二度にわたってほぼ滅亡する。ムリのありすぎるストーリーだけど、撮影が素晴ら
しく、リアルにできていた。潜水艦を始め、かなり本物を使ったらしいし、世界中をロ
ケしてディストピアを作り上げている。制作費24億は今だと50億くらいになるのではな
いか。もう日本でこんな規模の作品が作られることはないだろう。撮影は木村大作。最
高のアナログ技術と気迫で撮った映像は凄い。35oフィルムで南極ロケがなされたのは、
これが世界初なのだそうだ。
それにしても、タイトルに反し、これは絶滅ではないだろうか。
『復活の日』
1980年/日本/カラー/156分
監督/深作欣二
撮影/木村大作
原作/小松左京
出演/草刈正雄、オリビア・ハッセー、グレン・フォード、ジョージ・ケネディ、多岐川裕美、夏八木勲