2/10のねこさん 文は田島薫
ねこぼとけ
きのうの晴れた午後、家人と久しぶりに図書館行ってみっか、って高台の住
宅地歩いてると、一軒の小さな垣根の中をのぞきながら中年カップルが立ち
止って笑ってるんで、われわれもそっちを見てみると、銀色でふかふかの断
熱マットのようなもんにくるまれた円筒の上に少し薄汚れた白っぽい丸顔の
ねこさんが日なたぼっこして少し笑ってるような顔をして寝てる。カップル
と入れ代わって、われわれがしばらくながめてると、ねこさんの方も薄目を
開けて、少し笑ってるような顔をしてわれわれをぼーっとながめてから、ま
た少し笑ってるような顔をしたまま目をつぶった。
いやいや、ふかふかぽかぽかで、ごくらくごくらく。いや〜生き返ったね〜
夜は寒くて寝られなかったからね〜、も〜、うとうとしちゃって、ぼーっと
しちゃって、生き返ったのか死んじゃったのかわかんないね〜、おっと、死
んじゃったとしたら、やっぱ、ごくらくに来たのかもな、目をちょっと開け
みっと、お、笑ってる神さまがいる〜、なんちゃって。