12/7のしゅちょう
            文は田島薫

(質問をはぐらかす不様、について)


だれかが質問をした時に、されただれかがそのまま正直に応えたならば、ご

く平穏で気持ちのいいコミュニケーションになるわけで、なんの問題もない

んだけど、質問された側がそれに応えないで黙って、した側のそれを無視す

るとか、質問されたことと全く別の話を、さもその応えのような表情でする

とかされた質問者は、相手に不信感や嫌悪感を抱くはずだ。

普通の感覚を持ってる者ならそういう感想を持たれるのを避ける応えはしな

いもんだろうけど、世間ではこういった応え方をしてていいと思ってるらし

い者をけっこう見かけることがある。

聞こえないふりをして済ませる者は、その演技が相手にばれてない、って信

じられるぐらい素朴な自我の所有者かもしれないし、応えと違う話を長々と

して平然としていられる者は、とりあえずなにか言っておけば相手もじぶん

の質問がなんだったか忘れるかも、って信じられる素朴な頭脳の持ち主なの

かもしれないんだけど、当人の知能には疑いをかけられるだろう。

先頃就任したわが国の首相は、質問に対し、そのお答えは控えさせていただ

きます、って言ってるんで、応えたくない、って気持ちは素直に表してる分

ましなのかもしれないんだけど、これが一般人個々のプライベートな話なら、

しょうがないか、なにか知られたくない事情でもあるんだろう、って友人関

係なら、少し親しさが薄れるぐらいでたいした不快感は生まれないとしても、

一国の首相が国民に対して、その件は秘密だ、って、言ったり、それを君た

ちに説明する必要はない、って勝手に判断していいものかどうか。

そうするにはそうする理由があって、秘密の場合は、知られるとじぶんらの

不正がばれてしまうとか、問題点が明確になって追求されてしまう、とか、

不都合が推測されるわけで。けっきょく、説明を拒めば、こういった風に色

々と余計な憶測をされることになるわけだから、政治家には致命的な対応っ

てことなんだけど、現首相はこれを始終連発してるところをみると、これも

憶測だけど、政治の本論では、陰のリーダーがいて、当人は詳しい事情を教

えてもらえてなく応えることができないのかも。

または、逆に事情を全部知っていて、説明をきちんとすると、上記の後ろめ

たさがあったり、そんなことを愚かな国民にいちいち言うのは面倒だ、って

ことだとすると、そうとう傲慢、ってことになるから、無知か傲慢の二者択

一で、どっちにしても結果的に反感を買うことになるのだ。


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