12/21のねこさん       文は田島薫

おね〜さんまち


きのう、家人と駅の方へ出かけて、私だけ先に帰る途中の住宅地の道のわき

に、茶色のとらねこさんがうつぶせてこっちをながめてた。通る時も私を目

だけで追ってたんで、よっ、って片手上げてあいさつしたんだけど、さほど

おもしろくもなさそうな顔をしたままの同じ姿勢だった。


いやいや、さみ〜から、こ〜じっとして毛をふくらましてがまんしてんだよ

な、だったらよ、こんなとこにいないで奥のもっと暖ったかい箱ん中にでも

いた方がい〜んじゃね〜の、って意見もされそ〜なんだけど、ここにいるに

はわけがあって、だいたい今ごろんなるときれいなおね〜さんが、通って、

あら、かあい〜ねこちゃんだ、とかいいながら、なでてくれたり、うんまい

もんを食わせてくれたりすることがあっからそれを待ってる、つーわけなん

だども、きょうはだめだなす、ほら、またあっちから気がきかなそ〜なのが

歩いて来るじゃん。にらんでやっか、なんか言ってるね、うっせーやい。


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