映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画文化を盛り立てようとする人々の電話リレー。
映画の街・調布
20年ほど前に亡くなった父の従姉は、生前、日活で映画美術監督をやっていた。調布
に住んで仕事をしていたが、今も住所は変わらず、かなり高齢となったご主人はご健
在と聞く。お会いしたことのない遠い親戚だ。父の従姉が亡くなった後、遺品の中か
ら仕事の資料はぜんぶ調布市に寄付したらしい。そんなものも財産として価値を生む
ほど、調布は映画の街なのだ。
元・文化庁芸術文化調査官の佐伯さんが、ネット番組で調布と映画について熱く語っ
ておられた。ざっくりではあるが、こんなことを仰っていたように思う。
調布には映画という文化が溶け込んでいる。日活や大映スタジオ、東京現像所、東映
ラボテック、高津装飾美術、照明のアーク・システム、VFXの白組、シアタス調布…。
映画を作る、現像し仕上げる、見せる。これらのことが全てこの街で行われ、住人の
中には映画人もいれば、その家族・親戚もいたりする。こんな街は、全国広しと言え
ども調布だけ。京都の太秦も似てはいるが、現像所は大阪にある。
面白いなぁ。
今日、知り合いの美術監督から珍しくメールがあった。父の従姉の遺品を展示に使い
たくて遺族の許可を得たいが、電話番号を教えてもらえないかと。なにしろ遠い親戚
だから、私にもわからない。私→母→父の妹→父の従弟→父の従姉の夫と、なんとも
遠い遠い遠回りの結果、やっとお爺さんの電話番号をゲット。早速電話してみると、
齢90とは信じがたいほど滑舌よく、シャキッとした感じで驚く。
結果、資料の利用許可に関しては、快諾どころかいくらでも自由に使ってくださいと
嬉しそうに言っていた。眠らせておくより、活かしたいとの思いなのだろう。映画の
歴史が沁み込んだ展示。待ち遠しいなぁ。
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