●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、びくびくはらはらお出かけのようです。



GO TO 銀座


コロナで東京方面へ行くのは自粛していたのだが、巣ごもりもそろそろ限界。

東京の空気が吸いたくなった。

そこで、ぜひ見たいと思った新橋演舞場公演の『女の一生』を観に、銀座へ出

掛ける。

東急、中目黒駅から地下鉄銀座線に乗って東銀座駅へ。

通いなれた路線で、たったの1時間足らずの乗車なのに、この時期、ドキドキ

と緊張してしまう。

昼時なので空いており、会話をしている人はほとんどなく、住宅街からオフィ

ス街に入り、混んできて席がぎっしりつまっても次の駅で空いたりすると、各

自密を避けるように席を移動したりして、配慮をしている。

さすが東京は経済活動の中心地、日々のことなので皆それぞれ感染防止策を心

得ており、マスク着用、密を避け、まず自分の周りの安全確保は堂に入ってい

ると感心した。

私は安心して劇場に向かう。

さて、劇場では物々しく検温、消毒までは良いのだが、劇場内を見渡せば、観

客はほとんど中年以上のおばさん。友人と連れ立っている人も多く、席は一つ

置きに設定されているのだが、久し振りの観劇で高揚しているのか、休憩中は

お喋りやら、ロビーの長椅子で密になったり。売店にも群がっている。

普段は人一倍コロナを気にしている世代なのだが、久し振りの外出で日常から

解放されたひとときなのだ。

まして、華やかな観劇だし仕方がないのかも・・・

最近、Go to travel go to eat も使わなきゃ損、という打算も働いて、人の

動きが活発になった。

自分だけは大丈夫という自信か、もし感染したらと神経をとがらせるか、楽観

主義と悲観主義とに大いに分かれるところだ。

いままで生きてきて、これほど神経を使って行動しなければならない状態があ

っただろうか。まったく不自由なことである。


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