2/4のしゅちょう 文は田島薫
(期待されない幸せ、について)
先日、日本とFIFAランクではずっと下位のカタールとのサッカーアジアカップ決
勝があり3-1で日本が負けた。
近年の対戦成績では日本優位なんだけど、小国なのに豊かな経済力で有能な指導者
を得たりして急速に若手の技術力が向上したカタールの実力が多分勝ったのだ。
応援するわれわれとしては、ランクも上の日本が勝つに違いない、ってどっかで信
じてたのがそうは行かなかったのだ。同じようなことはずっといつでもくり返され
ていたし、逆に勝てそうもない相手を負かしたこともあるわけなんだけど、必死な
練習を重ねて、自分たちの実力も相手より上だと意識しつつ必勝を念じてがんばっ
た末に負けた時の落胆は応援する側よりも選手の方が大きいはずで。
自分たちの落胆にプラスしてそれを期待して応援してくれた「国民」を落胆させた
ことも意識せざるおえないだろうから。
それはすべてのスポーツに言えることで、日本代表、ってような形で期待を寄せら
れるプレッシャーはだれにでもあるんだろう、って見てると、そういった選手たち
の苦労やストレスは大変なもんだろう、って感じるわけで、あ〜、自分はそんな代
表になれるような運動能力がなくてよかったよかった、って思うぐらいなのだ。
とは言っても、アジアで第2位ってことはすばらしい成績のはずだから、それを素
直に喜ぶ方が断然いいことのはずなのに、われわれ国民はもうちょっとで優勝でき
たのに、ってようなことばかり意識するもんだから、選手たちの心労は果てがない
だろう。実力がつくってことは多分苦労もいっしょについてくる、ってことなのだ。
だからわれわれにとっても選手たちにとっても、一番理想的なのは、勝負は時の運
だから、勝つか負けるかはやってみなけりゃわからないんだ、ってことをよく認識
するのがいいんであって、一般国民が気楽に、優勝してください、などと言うべき
じゃないんだし、ましてや、目や手に力をこめて、絶対優勝してください、って言
ったりするのは言語道断、ってもんなのだ。
ま、そうは言ってもついそういう気持になって言ったり応援したりするのは一般の
人情ってもんなんで、選手の方は、はいはいできるだけのことをしてがんばります、
って言うぐらいで聞き流すぐらいでちょうどいいのだ。
で、こういった状況の苦労がないのが期待されない選手たち、ほんとに期待されな
ければ出場機会もないだろうから難しいとこだろうけど、なるべく目立たず自分の
仕事に専念できるポジションがもしあったら、それは最良なのだ。