10/7のねこさん       文は田島薫

さみしがりやニケ


毎日朝の6時前からわれわれが寝てる2階の食堂兼応接間兼居間兼寝室のベラ

ンダに、ニケは上がって来てなんか言ったりだまったりで座って待ってるし、

家人が1階へ下りてみんなにごはん出してやると、いっしょに食って、みんな

はどっかへ出かけて行くのに、ニケはだいたい近くにいて、2〜3時間すると、

またベランダに上がって来てさかんになんか言ってるんで、われわれのどっち

かがそばへ行くふりすると、すぐその場に寝転んで腹を出すもんで、根負けし

て体じゅうをマッサージしてやる。


お〜い、ぼくが来たよ〜、お〜い、わかってっかい、来たんだよ〜、ぼくが、

ほら、あがって来たんだよ〜、さ〜、いつものよ〜に、たのむよ〜、ぼくの体

にマッサージしてくれんでしょ、はやくはやく、たのむよ〜、お〜い、まだな

の〜、なに、いまなんかやることあってできない、って、じゃ、しょ〜がない

から、ちょっとだけ待ってやるから、はやくやることやっちゃいなさいよ〜、

お、やることすんだよ〜だね、ほら、ごろりん、っと、ここをたのむよ〜、こ

こんとこをぐるりんぐるりん、ってこすってくで〜


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