10/15のねこさん       文は田島薫

さみしがりやニケ 2


台風一過の日曜の朝、ベランダにまたニケが来てて、私が深呼吸しに出ると、

ごろん、って寝転がりお腹をマッサージしろ、って言ってるんだけど、きょ

うはちょっといじわるに無視して予定どおりのことをやってると、あきらめ

たニケ、階段を下りてって、下の植え込みの所でうずくまってなにか考えて

から、道路へ出て行き、となりのバレエ教室を壊した後の更地に入って行っ

た。更地は泥がでこぼこして昨夜の台風の雨水がおもちゃの小川のように流

れてていいぐあいに岸辺に植物が何本か生えてるそばでうずくまってなにか

考えてる風。


いや〜、昨日はこわかった〜、雨や風やすごい音に囲まれちゃってさ、やっ

とい〜天気んなって、さて、ここんちの人にマッサージしてもらお〜か、ほ

ら、ここここ〜、あれ?やってくんないみたいだね、ちょっと待ってみても、

だめみたいか〜、じゃ、い〜や、ど〜せ、ぼくなんかいなくてもい〜と思っ

てたのかもしんないね〜、なんだなんだ、そ〜だったのか、こっちの方の川

ん中に入ってもし、ぼくが溺れて死んじゃったら、悲しんでくれるかな〜、

ちょっとやってみか、…、なんちゃって、死ぬのはやだんだよ〜、だ。


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