1/28のしゅちょう
            文は田島薫

(ねこの生活、について


一昨年ぐらいに兄弟らしい何匹かの若いねこが急に現れるようになり、それがぽつ

りぽつりわが家に来るんでごはん(キャットフード)やってて、避妊手術済みの印

の耳の先をちょっとカットされてた2匹とまだのねこに、寒いだろうとその暮、玄

関前に段ボール箱でキャッツハウスを作ってやったら、昼間はどっかにいても夜に

なるとそこに泊まるねこが出て来た。それでも、他の場所でもごはんもらってるら

しく、彼らはいつも来るわけじゃなく、何日も顔を見せないこともあった。

あ〜、これが地域ねこ、ってやつなんだろう、って、慣れてつかまえられたら避妊

がまだのねこにそれを考える必要があるな、と思いながらも季節は過ぎいよいよ、

って思ってたころねこたちは顔を出さなくなって、入れ代わるように以前にちょっ

と来てたねことそれとは別の初対面のねこが3匹して親し気に顔を出して、わが家

の周囲に居座ることになった。

そんな時、地域のねこたちを保護をしてる団体の女性と知り合い、避妊手術が済ん

でない3匹にそれを費用折半で施してもらった。

で、またその暮にキャッツハウスを3コ作ってやったら、毎晩最低2匹は泊まるよう

になり連泊を続けてて昼間もわが家周辺にいて、近所の何人かも少しごはんをやっ

てるんだけど、他の場所でごはんもらってるらしい別のも時々2〜3匹やって来る

んでごはんやってると、ねこの食費がわが家の家計に追加、ってことになった。

それでもキャットフードの安い大袋を買ってるんで負担が重くて困った、ってほど

のこともなくこれ以上増えなければ今んとこ続けられそうだ。

考えてみれば、ねこ1匹の命をつなぐのに必要なのはささやかなごはんだけ、衣類

にも家にも金を使ってないのに、昼間の彼らは日なたぼっこしたりじゃれあったり

昼寝したり瞑想したりで、時間を自由に使って幸せそう。

で、われわれ人間はどうか、って考えたら、動物であることで基本的にねこと同

じで、とりあえず食料さえあれば生きられるはずなのだ。

そう言うと、なにを言ってるんだ、衣料も住居も必要じゃないか、って言われる

んだろうけど、実はそれのどれも、少なくともわが日本にはあり余ってて、住宅

やアパートがまだ住めるのにずっと無人だったり、新しい衣料品やその日作られ

たような食品が毎日のように廃棄されてるのだ。

そう言うと、食って寝るだけじゃ人間は生きられない、っていろんな物を買込ん

で使ったりするために金を稼がなくちゃならないんだ、って言って朝から晩まで

働いてる人も多いんだけど、そんな風に時間を浪費してるうちに人生は終わって

しまうんだ、ってことを考えたら、ちょっとはねこを見習うのもいいかも。


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