映画だ〜い好き        文は福原まゆみ


尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
映画女史、キムタクの才能と苦悩を思ったようです





何をやってもいつも○○


言わずと知れたキムタクのこと。私はジャニーズファンでも何でもないけど、これは

ちょっと擁護したくなる。何を演じても同じになるのは、勿論本人の演技力の問題も

あるけれど、それ以外にも様々な要素があると思うのだ。例えば事務所が守ろうとす

るタレントのイメージがあること、ヒットを狙ってファンが求めるイメージに沿うよ

うに作品が作られること、「いつも」と言われるほど多くの作品に出続けている売れ

っ子であること、メジャーになれば「当て書き(本人の特徴に合わせて脚本を書くこ

と)」をされるケースが出てくること等々。これらの状況が揃えば、どうしたってい

つも同じ様に感じてしまうのだ。でも私はキムタクを決して演技が下手だとは思って

いない。


四半世紀ほど前、大森一樹監督作品、SMAP出演の『シュート!』という青春映画があ

った。高校のサッカー選手たちの話で、かなりの酷評を受けたものだった。でも私は

これを観て、キムタクはサッカーはダメでも演技はうまいと思った。物語は正直酷評

されても仕方ないと思う内容なのだけど、ここぞというところで重要なセリフが用意

されており、キムタクはそのセリフを実にうまく表現して感動を与えてくれた。勘が

いいのだ。この作品、大森監督の演出に唸る部分もあったけど、キムタクの演技に救

われた部分が大きいのではないだろうか。私など、チームメイトに「サッカー、好き

か?」というシーンを、心の中で自分用に「映画、好きか?」に置き換えて、思い出

してはウルウルしている。


いつも同じ演技と言えば、キムタクならずとも他に沢山いる。だれも叩かないけれど、

吉永小百合だっていつでも吉永小百合のまんまだ。でもそれでいい。いや、それがい

い。昭和の大スター、永遠の清純派スターでい続けてほしい。実は上手い芝居をする

事より、第一線のスターであり続けることの方がよほど難しいのではないだろうか。

オードリー・ヘップバーンだって芝居はヘタクソだった。演技ではキャサリン・ヘッ

プバーンの方が上だ。でもオードリーは永遠の妖精、イコンとなって私たちの心に不

動の位置を占めている。


話がそれた。キムタクは決して演技下手ではないと言い切ろう。"キムタク"でい続け

ることを望まない監督と組んでじっくり映画を作っていけは、評価は上がる気がして

ならない。


『シュート!』
1994年/105分/カラー


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