●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、いろいろ考えた末、ついに答が出ました。


ブーツを買う


正月明けショートブーツを買いに行った。

久しぶりの繁華街に心がウキウキする。

駅地下街をブラブラ歩きながら、あっちを覗きこっちを覗き、一か所で決めずにいろ

いろな靴専門店で見比べる。

春物の仕入れが始まるこの時期、どこも冬物はバーゲンセールである。

ある高級靴店は12000円のブーツが9000円に値下げしていた。また大衆靴で

有名な靴専門店では5200円が4000円で売られていた。もちろん本革と、合成

皮革かの違いはあるのだけれど…

私は迷う。

季節ものだし、長く履くものではないし安くていいか…いやいや高ければ履き心地が

断然違うはず、イイものを長く使う方が得か、と迷いに迷う。

昔、伊勢丹のコートの15000円均一バーゲンセール広告で、

“男は15000円で決める

女は15000円で迷う“

というキャッチコピーがあった。

買い物に対する男のさっぱりとした基準と、女の少しでも安く良いものをというこだ

わりの基準が見事に表されている。

女はとにかくお買い得品が好きなのである。

でも私はいままで生きてきて、お買得品なんてめったにないことが分かった。

高いものはそれなりに良く、安いものはそれなりに悪いのだ。

値段はそうやってつけられるものなのだと学習した。

結局、私の靴選びは値段やデザインにとらわれずに自分に合った歩きやすいものに落

ち着いた。


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