4/16のしゅちょう
            文は田島薫

(日本人の「和」の問題点、について


きのうテレビ見てたら、アイドルグループの1人が海外で音楽の勉強をしたいと言う理

由で自らグループから脱退宣言をした話を当人の言葉も交えて伝えてたんだけど、若い

女性たちにはけっこう人気者だったようで、それを聞いて泣き出す者もいた。

私にとってそのグループは興味の対象ではないんで、どうでもいいことなんだけど、そ

れを知った時、なんて馬鹿げたことするんだろう、って批判的な感想を持った後、待て

よ〜、って考え直したもんでその理由をご紹介(しなくてもいいんだけど)。

私の知る限りの狭い認識かもしれないんだけど、彼のグループでの業績を聞くと、ルッ

クスと歌唱力以外にこれといった音楽的才能は認められてなさそうなのに、当人、自分

はもう36才で人生の半分(?!)、自分はきちんとした音楽教育を受けた経験がないん

で今後は何年か海外へ行ってそれをじっくり勉強したい、って言ってたんで、そんなこ

としても今の人気以上の成功をおさめるのは難しいことだし、グループのメインボーカ

ル的な立場から抜けたら残ったメンバーは困るだろうから、今のままやってくべきだ、

って私は反射的に思ってしまったのだ。

ところが、反対するメンバーたちの話もよく聞いてみると、そういったたぐいの話は全

部ぶつけた上で当人の意志が変わらなかった、っていうことだったそうだから、彼の心

情には、そういった今しばらくの人気とか経済的利益の計算よりも、自分自身の自由意

志を伸ばすことをやっておきたい、それでたとえ、いい結果を残せなくてもかまわない、

自分の意志とずれた形での人気やわずらわしいアイドル生活には疲れたし、もう充分だ、

メンバーには迷惑になるとしても自分がいないことによってグループの人気が落ちる、

って考えるのは不遜なことだろうし、なにより、自分の自由意志を抑えて妥協して行く

ことは自分にもメンバーにも哀しいことじゃないか、って思ったのだ、多分。

私が最初に感じたように、日本人は経済的利点を最優先にしたり自分より先に周りの関

係者のことを考えてしまい、和を乱さない、ってことが美徳だ、って思う傾向があるよ

うなんだけど、これは堅実的や平和的でいい面は大いにあるにしても、時には本末転倒

になることも多々あるわけで、早い話、昨今のエリート役人たちの内閣への忖度のよう

に、一番大切な世界平和や国民の福祉のため、って目的よりも、自分の上司の思惑に従

って好評価をもらう、ってことを優先して積み上げた学識や努力をそれに費やしたあげ

く世界や国民からの軽蔑を得る、ってことにもなるのだ。

だから、安易な和より物事の本質を認識した自己の矜持や主体性の方が大事なのだ。


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