●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの友人たちの話題の行方。
女子トーク
最近、瀬戸内寂聴が最後の長編小説として『いのち』を発表した。
私は読んではいないが、巷では、交流のあった河野多恵子と大庭みな子の悪口の応酬
の暴露本だともっぱらの評判だ。
女流作家といわれる大御所でも陰湿な悪口を言い合い、それを小説としてバラすなん
て、いかにも女の世界で、(おや、まぁ!)である。
それでも95才の瀬戸内寂聴ともなると、何を書いても貴重だし、小説を書くこと自体
がすごいのである。
人の悪口が大好きというのは、女の習性かもしれない。
ファッションの話から料理の話、健康の話がすむと、そのうち、うわさ話、陰口、打
ち明け話と進んでいく。
それらは“あなただから言うのよ”というスタンスで、お互いの親密度を上げていく
手段でもあるのだ。
しかも女が人を評価する言葉ってなかなか手厳しい。
皆よく観察していて、(な〜んだ、皆感じることは同じなんだ)と思うことが度々あ
る。だが、そこまでは一致するのだが、そこから先、それを許容して受け入れるか、
受け入らないかは人によって異なる。
先日、ある女子会で私はズバリこんなことを言われた。
「あなたは明るく活発だけど、ときどきふっと寂しい顔をするわね」
私はこの言葉を(よくぞ言ってくれた)と喜んだのだった。