思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、なんだか願掛けの日々になっちゃったようです。





ミントティー





ミントという言葉を知ったのはいつごろだろう。

ハッカという言葉は子どものころから知っていた。焼け跡の原っぱに生えているハッ

カとよばれる草の葉をもむといい香りがした。ほかにもハッカ飴、ハッカパイプなど

があったので、あのスーッとするものがハッカであることは知っていた。

さて、ミントというハイカラな言葉はどうだろう。いま思いつくのはロッテのミント

ガムがはじめだとおもう。噛むと口の中がスーッとする大人の味だった。


昨年モロッコに旅したときミントティーというものにおめにかかった。名前は聞いて

いたがどのようなお茶なのかは知らなかった。これはトルコのチャイとおなじように

どこへ行っても出てくる。スッキリとした味わいはやみつきになるものだった。なん

とか入れ方がわからないかと思っていたら幸い実演にめぐりあうことができた。

入れ方は実に簡単。ポットに日本でいう緑茶を入れ、つぎにミントの生葉を入れる。

その上から熱い湯をそそぐとできあがり。じつに簡単、さっそくみやげ物店で手頃な

大きさのポットとミントティー用のグラスを買った。


それからが大変だった。ハッカなんていうものは原っぱに生えている草だから安いだ

ろうと思っていたらおおまちがい。どこへ行ってもミントと名を変えて、ハーブ売り

場という高級野菜の棚に鎮座ましましている。これだとお茶一回に150円くらいか

かる。これはかなわんと思ったときひらめいたのがアメ横だ。あそこならもっと安く

手に入るはず、と行ってみたら思っていた以上に安かった。なんと十分の一以下の値

段で売っている。


しかし、これでも解決にならなかった。いくら安いといっても交通費を考えるとそう

は安くない。つぎに考えたのが自家栽培。まずタネを買ってきたらこれは全滅。袋に

は発芽率40パーセントと書いてあるのに…。のこされた手段は苗しかない。はたし

てミントの苗なんて売っているのだろうかと不安だったが、ブームなのかペパーミン

ト、スペアミント、オレンジミント…と6,7種類のミントの苗が売られていた。ど

れがいいのかわからないので、名前を知っているペパーミントを買ってきた。ところ

がこれが日を追ってよわっていき、しまいには消えてしまった。水やりがわるい、と

わが家の庭師におこられたので、リベンジすべくまたペパーミントの苗を買ってきた。

シーズンが過ぎたせいか苗の値段が安くなったので、つづけてペパーミントと、日本

ハッカというものを買ってきた。この三つの苗はしばらくのあいだ枯れもせず伸びも

せずという状態だったが先月も終わるころから急に伸び出した。

そろそろ自家産ミント第一号とうずうずしているのだが、庭師いわく、もうすこし芽

がふえてから、とお許しが出ない。自家産ミントティーが飲めるのはいつになること

やら…。


(写真は、右から順に消えた初代から2、3、4と続く。おなじ鉢の3,4のペパーミントと
日本ハッカはどこが違うのかわからない。)


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