思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、すぐにお馴染みの違和感を連想したようです。
虚像
ベランダに目をやると、睡蓮鉢に花が咲いている。
冬枯れの睡蓮鉢に花が咲くわけがない。この違和感が現実のものであるとわかるまで
すこしの時間が必用だった。明暗のバランスがガラス戸を半透明鏡にしたてている。
部屋の中にあるサイネリアの虚像とベランダにある睡蓮鉢がみごとにひとつの絵をつ
くっている。
世の中にはこれとおなじようなことが多くみられる。とくに政治の世界では実像のな
かに巧みに虚像が織り込まれていて、それを一つの実像とうけとってしまうと気がつ
いたら虚像の方が多かった、ということがある。虚実の見分け、これはほんとうにむ
ずかしい。