12/17のしゅちょう
            文は田島薫

(嫌いなやつ、について


だれでも日常生活を送っていて他人と関わっていると、どうしても嫌いだな〜、って

感じる人に遭うことがあるわけで、そういう自分だって、だれかに嫌われてることが

あるはずなんだけど、なかなか自分に関しては嫌われてることやその理由について気

がつかないことの方が多そうだ。

他人から嫌われることを気にせずにいつも自分の思うまま言いたいことを言ったりし

て済むんであれば、それはそれでいいのかもしれないんだけど、意外な怒りを買って

思わぬしっぺがいしをもらうこともあるんで、少し気をつけることも必要だろう。

そういう危険がある嫌われ方は、明らかに物理的精神的に被害を与えた場合なんかは

わかりやすいんだけど、もっとささいなことでも、それがあるとすると、私自身の過

去の感想から言うと、どうでもいいような社会的地位を根拠にして妙にえらそうな態

度でいつも上から目線で人に物を言うわりに、相手が自分より社会的地位が上の者と

見るところっと下手な態度に変わるような輩。

それでも、そういったものに自分のプライドを託してる自分の弱点をわかってて、少

しは他人の話を聞いて考えたりできる者であれば、たいして罪はないし、場合によっ

ては愛されるキャラクターの場合もありそうなんだけど。

仕事上の必要や、本当に人並みはずれた能力を感じさせ、得るものがあるなら違って

くるのかもしれないんだけど、そうじゃなくて、当人がそういったことにさっぱり気

がつかず、ただ自分の地位や能力を過信して下と見る他人の話には耳を貸さず、愚に

もつかないような話や指図をするだけの者の場合は、私もつきあいたいとは思わない

し、嫌いなやつだ、って断言できる。だって、そういったつきあいは全然楽しくはな

いし得るものもなく、ただただ時間の浪費だから。

こう書いてみて、あれ、ひょっとすると、これは過去の自分のことかも、って感じた

りもするわけで、考えが浅い若い頃はとくに、相手を早々に値踏みして決めつけ、え

らそうにこっちの勝手な意見を一方的にまくしたてる、ってようなことをよくやって

たな〜、と。これが酒なんか入ると余計エスカレートしてどんどん嫌われて行く。

とは言うものの、そのころからの私の友人は全員そういう傾向があったんでお互いさ

ま、ってことで丸く治まってたようなんだけど、さほどつきあいのない相手の場合は

きちんと嫌われることも多かったはずなのだ。

今や、私も反省して、人ってもんの価値は簡単にわかるもんではないんだ、ってこと

になり、他人の話もよく聞いたり考えたりするし、相手を乱暴に決めつけたり馬鹿に

した口調で話すことはほとんどないのだ、多分。無闇に他人から、嫌いなやつ、って

思われたくもない、ってこともあって。


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