1/9のねこさん 文は田島薫
高見のむん
先日、いつものように朝の体操を庭の山桃の木に向かってやり始めて、少し時間が遅
かったらしく、いつもむんがひなたぼっこしてる植え込みの日だまりがもう消えてる
のに気づいたんで、あたりを見回してみると、山桃と反対側にふり返った上り坂のわ
き、小さな家が年末に壊された更地の手前のブロックの上に丸くなって日なたぼっこ
してるのが見えた。しばらくながめてると、横見てたむんと目が合ったんで、よ、っ
て手を上げて合図したら、怪訝そうにふり返ってからまた正面向いたんで、また、よ、
って手を上げたら、しばらくだまってて、ふいにこっちへ小走りにやって来てから、
なんとなくわが家の雑草のアプローチを通り私をすり抜けて玄関の方へ行った。
あっちで日なたぼっこしてから、次はこっちで日なたぼっこ、いやいや、なかなか、
わたいは世渡りがうまいね〜。こっからだといろんなもんがあっちよりよく見えるか
らおもしろい、ってばおもしろいんだけど、そば通る人にじろじろ見られたり声かけ
られそ〜になるのがうっとし〜んだよね。さて、あっちで感じわりー方が出てきて、
またへんなおどり始めたね〜、ま、あっち向いてるからよかったものの、こっちでも
向かれちゃうと、なんだかめんどーなんだよね、つってるそばから、こっち向いちゃ
ったよ、手上げてるね、知らんぷりして後ろ向いちゃお〜、後ろにだれかさんいれば
そっちにまかせちゃお〜、おっと、いないね、また手上げてるね〜、ってまた後ろ向
いちゃってみても、だれもいないから、さて、どーすっか、わかったわかった、そっ
ち行けばい〜んだね、そのかわり、なんかうんまいもんでも出してくれてんだろ〜ね、
も〜、めんど〜、ったらありゃしないね〜、ったく。