1/22のしゅちょう 文は田島薫
(間違ったプライド、について 2)
新年になり一流私立大学生の息子に一流企業に勤める父親が刺殺される事件が2件続いた。
どちらも一家で一番えらいと自覚してやりたい放題言いたい放題の父親に、長年忍従して
た子供が怒りを爆発させた、ってパターンのようだ。
そういった父親は自分が働いてそれらを養ってやってる、って意識がいつも働いてるせい
か自分には自分の意志通りに家族を従わせる権利がある、って思いがちなんだろう。
ところが古今東西、老若男女はだれでも自分の主体性や自由を必要としてるもんだし、そ
れを抑え込まれることを心からよしとする者はそうはいないはずなのだ。
たとえば子供にやりたいことがあってそれを優先したいところを、親を含めた周囲の説得
やら、社会的な状況を子供自身も考えてそれの優先順位を変えたりするのなら、当人の納
得づくなので問題も少ないだろうけど、親からの問答無用の強権発動なら問題だろう。
だれでもたいていは自分の言い分、ってもんを持っており、自分の存在の価値を感じたい、
って思ってるもんなんだから、それを頭ごなしに否定したり馬鹿にすることは、どんな人
間関係でも不和の元なのだ。
それに、人には他人にはなかなかわからないようなそれぞれの事情、ってもんがあるのだ
から、自分が正当だと思ってたような行動と違う行動を相手がした時に、相手をすぐに批
判したり否定して済ますのは軽率なのだ。よくある道路上での車同士のいざこざだって、
お互い常に自分の方が正しい、って思ってるところからのすれ違いが多いもんなんだし。
で、たとえば国際外交についてだって全く同じなんであって、自分の方が正しい立場だ、
って思い込んで相手の話に聞く耳を持たない状態では、相手の立場についての理解や共感
がないだけに、平和外交の手段としては危険性ばかりが多くなるのだ。
自分たちがしてきた加害の歴史などは棚上げにしたまま、北朝鮮に対しては頭ごなしに、
国民を苦しめるひどい政治をやってる国だ、危険な国だ、って決めつけて語る者たちや、
それを公言するわが国の首相や、その路線で北朝鮮への圧力強化ばかりを正義漢づらして
しゃべる者たちがそれなのだ。
自分が核兵器を世界で一番多く保有してるのに特定の小国にそれを持つのは悪だ、って言
い張ってたり、ミサイル攻撃をする危険な国だからそれをされる前に先制攻撃しちゃおう
かとも思ってる、って勝手なことを言ってる米国に追従する一方で先頭切ってそれをえら
そうに公言してるわが国の安倍政権のどこに正当性を主張する理があるんだろうか。