●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんたちの贅沢と節約の微妙なバランス話。
水談義
ウーン、今年はなんと蒸し暑い! この暑さ、絶対冬まで覚えておこっと。
そういえば、冬は冬で、ブルッ、おーさぶ! この寒さ絶対夏まで忘れないからね、
と固く誓ったばかりなのに。
季節が巡ると体はそんなことケロッと忘れてしまい、オタオタする。
まったく情けない。
ところで今年の猛暑、外出にはマイボトルが欠かせない。
むかしは水筒と言ったけど…
今日び、そんなダサい言い方はしない。それにちゃんと保温機能のあるスマートな形
にカワイイ色が揃ったすぐれものだもの。
太極拳教室では皆思い思いのボトルに飲み物を詰めてくる。みんな主婦なので、自動
販売機のお茶なんて買わない節約志向だし、大体、お茶を外で買うなんて! と抵抗
を感じる年代なのだ。
入れてくるのはミネラルウォーター、煎茶、麦茶、ごぼう茶、××のおいしい水、ジ
ャスミン茶など氏素性のしっかりしたものばかり。
ところで、横浜の水道水はおいしい。
そのまま飲んでも違和感はないのだが、マンションに住む人は違うらしい。
「だってあーた、ウチは最上階でしょ。汲み上げた水はとてもカルキ臭が強くて飲め
たものじゃないの。だから水はペットボトルで買うのよ」
「ウチの主人は毎晩ウイスキーの水割りを飲むので××社のミネラルウォーターを切
らしたことがないの。ほほほ」
ああ、皆あの重たいペットボトル入りの水を運んでいるんだ。
(いやいや、配達してもらっているのかもしれないけど…)
みんな詰めてきた水やお茶自慢をひとしきり。
私は、いつカートリッジを取り換えたか忘れた浄水器からそのままの水を詰めてきた。
「ワタシのはれっきとした横浜の水道水。銘柄は“ヨコハマのおいしい水”だわよ。
おほほほ」
である。