4/10のねこさん 文は田島薫
ミケがミエはる
小雨が降ったり止んだりのきのうの夕方、家人と傘持って近所のスーパーへ味噌や酒を買
いに行く途中の稲荷神社となりの家、狭い庭をのぞくと傘立てた発泡の箱の中にねこさん
は留守だった。なんだどっか行っちゃってるね、って言い合ってから、家人が、あ、あん
な高いとこにいた、って言う方を見ると、屋根近く、ひさしの下に取り付けられてた湯沸
かし室外機の上にミケが寝そべってこっちを見てた。よ、ってふたりであいさつしながら、
ちょっと感心しながら行き過ぎ、ふり返ると体の向きを代えてこっち見てるミケが見えた。
買い物済ませて帰って来るともう、さっきの場所にねこさんいなくて、いないね、って通
り過ぎてふり返ると、石段の垣根の陰にミケが座ってこっちを見てた。
雨が止んだんで箱から出て家の前の石の柱の上にいたら、急にまた降って来ちゃったんで、
思わずここへ上がっちゃったんだよね、でも、きゅうくつなこんなとこ乗ってるのかっこ
わりーかもね、あんまりだれかに見られたくないね〜、つってるそばからあの2人組が来
たよ〜、お、こっち見て笑うか、笑うかこんにゃろー、笑われる前にこっちからにらんで
やろー、どだ、じっと目そらしちゃいけないよね、そらしたとたんに笑うといけないから、
じっとこー、にらんじゃって、行った行った、さて、もーはやいとこ下おりっか、ここな
らかっくいー場所かもね、お、またあの2人組が戻って来た。こっち見るか見るか、見た
ね、どだ、かっくいく見えるかな、今度は、どだ。