思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、しらず桜に翻弄される日々だったようです。





きょうもひぐらし




『やいさくら さきやがったな ちきしょうめ うぬがおかげで きょうもひぐらし』

という江戸狂歌がある。

「やい」、「ちきしょうめ」、「うぬがおかげで」とひろいだすと喧嘩をうっているよ

うだ。そう、これは桜に喧嘩をうっているのだ。


まちに待った桜が咲いた。「花を見ていると、仕事もわすれてきょう一日がすぎてしま

った。やい桜、どうしてくれる」という桜への愛情のうらがえし。かわいがっている人

間を「あのバカが」というのとおなじ、江戸っ子の照れなのである。

写真の仙人も、自転車のスタンドを立てる手間も惜しんで、「酒だ、酒だ」と、「きょ

うもひぐらし」をきめこんでいる。人のことは言えない。カメラのホルダーをかぞえた

ら、6回も日暮ていた。


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