●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、「時代に流される」人の言葉に少し焦りを感じたのかも。



時代は変わる


前回、“栞”について思い入れたっぷりに書いたのだが、早速読んだ人から「古いねえ」

という反応があった。

そっか、いまどき栞といってもピンと来る人は少ないのだ。特に若い人には・・・

だって、今やスマホの時代だもの。

電車に乗っても文庫本を開いている人なんか皆無。皆スマホを見ていて、ニュースもゲ

ームも電子書籍もすべてあの小さな機器で間に合うのだから。

ならば、昔文学少女だった友人たちは共感してくれるかというと、「老眼でもう小さな

文字を見るのは苦手なの」とすっかり本離れ。

ああ、と深いため息とともに“昭和は遠くになりにけり”を実感する。

そして、その嘆きに追い打ちをかけるようなことがあったのだ。

お盆に孫が夏休みの宿題をもってやってきた。見ると夏休み計画帳やドリルなどにやた

らと派手な付箋がつけられている。

「なにそれ?」と目が点に。

「えっ、知らないの? おばあちゃん」と孫。

書き込みをしてペタッと貼って補足する、予定表にやることを書いてペタッとして終わ

ったらたらはがす、暗記物には目隠しにして覚えるまでペタッ、ノートの端に落書きを

してペタッ。

付箋は栞代わり、メモ代わり、落書き代わり、装飾代わりと万能の働きをするんだって。

だから種類も使い方に応じて大小さまざま、色もさまざま、形もさまざま、漫画のキャ

ラクター入りあり、写真あり、もうなんでもアリなのだそうだ。

文房具屋の付箋売り場へ行くとすごいよ、たくさんの種類があって迷っちゃうんだから

だって。

ババは100円ショップの付箋しか買わないから知らなかったなあ。

時代は変わる。

乙女チックな栞の時代は終わったのだ。

ライン、ネットショッピング、電子マネー、ロボット家電、AIなどなど、気がついたら

時代に取り残され、いつのまにかガラパゴス状態になっていた。


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