6/27のしゅちょう 文は田島薫
(個人主義と排他主義、について)
英国民の多数決で英国のEU離脱が決まった。残留を支持したのは若い層が多く、
離脱に賛成したのは、中高年の下層労働者が多かったそうだ。
EU加盟で各国民の相互移動が自由になり、経済的に貧しい東欧からの移民が増え
安い労働力で仕事を奪われる層が増えたのが離脱派の大きな理由のようだ。
離脱派の意見に好意的な見方をすれば、貧しい国の連中は自分の国内でなんとか
がんばって自国の経済を立て直すべきだ、ってことになるんだろうけど、悪く言
えば、だれがどんなに貧しい暮らししてても、自分の知ったこっちゃない、って
風にも言えるわけで、とりあえず欧州全体が協力しあって、多少の不自由は我慢
しあい豊かで平和な世界を創って行こう、って志から離れることになる。
とは、言っても、現実に今まで就いていた職場が、自分より安く働きます、って
言う他人に奪われちゃ、はいわかりました、ってわけには行かないだろう。
問題はより安い労働なら、どんどん気楽に切り替える経営者や、それが可能な法
制備の不備なんであって、より有利な職場を求めて移住してくる人々の責任では
ないはずで、それが公平にしっかりしていれば、さほどそれが問題になることは
なかったのだ。
そういった問題に目をつぶって安い労働で利益を上げる企業はEU残留を支持し、
それの競争力にやぶれた企業は離脱を支持、単純に移民が増えるのが問題だ、っ
て短絡的に判断した頭の固い不遇者たちが過半を超えた、ってことなんだろう。
本来はEUの理想を見捨てず、問題点を改善して行くことが一番いいはずなんだ
けど、排他的発想に人は簡単にとりつかれてしまうもんのようだ。
すぐに、そういう時、人は独立した国の誇り、ってようなことを口に出したがる
んだけど、そういったものが意味を持つのは、自分と同様に他人の独立を敬う、
ってことがセットなのだ。独自の存在である個はそれぞれを尊重しあう、ってこ
とは、他の存在について、知ったこっちゃない、って切り捨てちゃだめなのだ。
戻る