5/9のねこさん       文は田島薫



寝そべってがんつける


きのう家人と2番目の最寄り駅まで散歩した途中の路地。垣根越しの小さな縁側の向こ

う端に頭をつけたちょっと薄汚れたミケねこさん、足をこっちに投げ出した形で仰向け

に寝ながら無精に心持ち首を上げてこっちを見てる。われわれは、よ、って手上げてあ

いさつしてねこさん見てるんだけど、ねこさんの方は、不機嫌そうにじっとこっちをに

らみつけてる風なんで、しばらく見合ってからわれわれは立ち去った。


いやいや、ここらしきるのは大変だぜ、このごろの季節んなるといろんなやろーがやっ

てきてここいらのかわいこちゃんにちょっかいだそうとするもんだから、くらっ、って

おっぱらってばっかで、たまに、なんだと、って歯向かってくるのもいるもんだから、

強そうな相手ん時は、や〜、こんにちは、なんちゃったりもするんだけど、たいがいは、

にらみ返してやんだ。ほら、そ〜言ってるそばから、へんなのがふたり立ってやがるぞ、

くらっ、はやくあっち行かないと困ることんなるぞ、ばーろー。あ、行った行った。


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