思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、安倍政権支持の危険性を指摘してます。





いまのままでいいのかなぁ




写真は30歳をすぎた父親の兵隊姿。関特演の名のもとに赤紙召集されて連れて行かれ

た満州でソ連侵攻一年前のつかの間の笑顔である。関特演とは、関東軍特殊演習のこと

で1941年独ソ戦がはじまると同時に対ソ戦を想定して演習の名を装って増兵したも

のである。親父の部隊は、ソ連侵攻と同時に関東軍司令部に見放され、ソ連軍と戦いな

がら敗戦、シベリア拘留としなくてもよい苦労を強いられた。

生活が落ち着いて戦友と旅行に行くようになると時々戦争の話しをした。その時はふし

ぎなことに、悲惨な目にあわせたソ連を恨まずに日本国を恨んだ。


ここ半月の新聞に目をやると驚くような記事が目立つ。ひとつは民間船員の予備自衛官

登録である。

戦争というものは大量の兵員輸送が必要になってくる。島嶼のおおい国内はもちろんの

こと海外派兵となれば絶対に輸送船が要る。先の戦争では膨大な数の民間船、船員が徴

用のもとに犠牲になっている。現在自衛隊には大量の兵員、兵器を運べる船は二隻しか

ないそうだ。いざ出陣というときには民間船舶を使うことになるが、現行法では徴用と

いうわけにいかない。そこで民間の船員を予備自衛官に登録しておいてこれにあてよう

という目論みである。もう一つは科学技術の軍事利用である。たしか1949年だった

と思うが、日本学術会議が「科学技術は絶対に戦争につかわせない」という趣旨の宣言

をした。ところが最近防衛省は研究助成金の名で各大学のめぼしい研究室に多額の研究

費を提供している。ある研究者が「わたしは断ったが、同じ研究をしている仲間が潤沢

な研究費で研究をしているのを見ると心が動く」と言っている。これは金で研究者の良

心を買い取ろうというものだ。

最後はとうとう来たかという話し。

「現状にそぐわない憲法は改正すべきである」という安倍首相の発言。これは憲法とい

うものがなにゆえにあるかということをわかっていない人間の発言であって、そもそも

憲法違反の現状を作っておいて、「現状にそぐわない憲法は改正すべきである」とはど

のような頭の構造からくるものなのだろうか。この、既成事実をもとに大儀を動かすと

いう戦略は、偽の錦旗の御旗に始まる明治政治お得意のもので、満州国建国では最大の

力を発揮した。先の大戦でも中央の命令を無視した暴挙はあまたある。その結果はご存

じのとおりである。


いまのまま、安倍政治に無関心でいると危険である。幸い参院選前に安倍首相は理想の

追求ではなく現状を肯定するための憲法改正を宣言した。福祉、経済対策だけに目を向

けていないで、テロ、北朝鮮、中国の海洋進出、を目くらましにつかう安倍首相の本質

をみきわめないと小生の父親のように「敵を恨まず日本国を恨む」ということになりか

ねない。


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