1/12のしゅちょう 文は田島薫
(長嶋茂雄の天才について)
家人が録画しといたものの中に長嶋茂雄さんと阿川佐和子さんの対談があって、感心
したもんでそれの要旨をご紹介。
長嶋さん、だれでも知ってる巨人の大スターで、数々の有名なエピソードがあるんだ
けど、それのどれもが、たいてい一致してるのは、当人は無意識なのか意識的なのか
普通人が気にするようなことでもおかまいなし、大事なのは物事に対しての常に前向
きの楽天性のようだ。
デビューの頃、打席でいつも三振したのを全く気にしないで、必ず打てると信じて、
陰で練習を続けてて、それがちっとも辛いと思ってなくて楽しくてしょうがなかった、
って。
で、それを語る当人は12年前に脳硬塞で倒れ、ずーっと今でもリハビリを続けてきて
て、少し歩きもしゃべりもスムーズさが足りないんだけど、うれしそうな笑顔なのだ。
倒れた時に絶望したかどうか聞くと、ちっともそんなことはなくて、逆に、なんとか
直してやるんだ、って闘志が湧き、毎日の努力目標ができてうれしかった、ぐらいの
ことを言うのだ。
で、リハビリで毎日何時間もがんばることによって、確実に進歩してくのを感じるの
がうれしい、と、いや、よくなる、ってほ〜んとにわずかづつ、なんだけど、って。
全然絶望しなかったとか、辛さなんかはない、ってことは、私だってそのままウのみ
にはできないんだけど、語るはじけるような当人の笑顔を見ると、ほんとかも、って
信じられる気がしてくる。
多分、長嶋さんは、一気に物事の本質を見極めることができて、それをすぐに行動に
移すことができる人間なのだ。
それが天才、というものなのかもしれない。多分天才じゃないわれわれは、そういっ
た天才を見習うことで天才の境地にも近付けるかもしれない。
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