9/7の日記          文は田島薫



家で映画三昧後、映画館に行った


先週はニール・ヤングとスティブン・スティルスのバッファロー時代の歌詞の訳詞をし

たり、過去に観たはずの名作映画の筋の確認をしたりして、表現についての思いを巡ら

してたんだけど、合間にやっぱり映画好きの家人が借りたDVDで映画を3本観た他、家

人が留守録しといた映画も1本観たりして頭ん中がモノガタリでいっぱいんとこ持って

来て、日曜には先週の新聞広告を見た家人から是非行こう、って言われてた新作映画ま

で小雨模様の午後、2番目の最寄り駅のシネコンへ観に行って来た。

その映画は、30年以上も前の自分のヒット曲だけでどさ回りしてる自堕落な老人気ロッ

カーがかつて新人の頃のラジオインタビューで、成功は創造活動に悪影響があるか、っ

て、質問に、ある、って応えたことに対し、ジョン・レノンから手紙が来ていたのを、

43年後になってやっと知らされ、その時それを読んでたら人生が変わってたのに、って

残念がりながらも生活姿勢を変えようとして、不義理され相手にしてもらえない息子に

会いに行ってがんばったりする、ってよーな内容。ジョンの曲満載で、って紹介見ると、

悪く考えればジョンの人気に便乗したB級作品じゃねーの?、ってことも言えなくもな

いし、観なくてもいっか、って感じだったんだけど、好意的に考えれば、プロデューサ

ーの営業的期待は否定できないとしつつロッカー当人は損得抜きに本当に感動したんだ

ろう、とも思えるんで観てやることにしたのだ(えらそ〜に)。

実際に観た感じは、予想とあまり変わらないんだけど、当ロッカー、惰性人気とは言え

人気なのは確かで、われわれ一般人がすぐに金銭的な目的で、って例えばこの映画もそ

のため作られた、ってとこだけ考え勝ちなんだけど、ちっとも創造活動ができてないの

に人気と金だけは不自由しない、って状況の苦しみ、ってもんもあるんだろう、ってこ

とがリアルに伝わって来て、これは手紙を書いたジョン自身だっていつもつきまとうテ

ーマだったはずで、こりゃ、好意的に観なけりゃいけないかも、って私自身、反省もさ

せられたのだった。主演したアルパチーノがその苦悩をうまく表現してたその演技力に

も説得力があったし、けっきょく、当初の、ジョンを出汁に使いやがって、っていった

ちょっとした反感はどんどん薄れ、親子テーマに比重が移り、ラストの落ちでは、ふい

に胸のあたりからなにかが込み上げてきて慌てた。


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