思いつくまま、気の向くまま
  文は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセーも当然、安倍さんの独走を非常に心配してます。



宰相を誤ると


「『平成の岸信介になる』国会周辺のデモ隊を見ると、おじいちゃんを思いだして、燃

える孫」と週刊誌に書かれていました。

週刊誌というものは、たき火を大火事と書くことはあっても、火のないところに火事は

おこさない。ということは、この見出しはほんとうでしょう。

安倍首相のばあいはとくに真実性が感じられる。なぜかというと、いままで父、祖父あ

るいは親族に総理大臣経験者をもつ首相は何人かいましたが、安倍首相ほど祖父岸信介

元首相の影響から抜け出せない首相は初めてだからです。

彼は、岸元首相の孫であり、明治革命をなしとげた長州人であることに陶酔しています。

「わたしたち長州人が近代日本をつくった。日本の政治は長州人が司るのです」いくら

地元でのサービス演説であったとしても、いまどきこういうことを平気で言う人間は奇

異な存在です。

おそらく安倍首相は岸元首相の再来のつもりで政治にたずさわっているのだろうが、そ

の能力のちがいについて考えたことがあるのでしょうか。


多くの反対を押し切って岸元総理が締結した日米安全保障条約をおおざっぱにみてみる

と、不平等条約であった一次安保をほんの少し平等条約に改定した。日本の防衛責任は

アメリカが負う(日本人は戦争で血をながさない)かわりに基地を提供する。憲法に抵

触する条約は結ばなかった。とわるいことづくめではありませんでした。

さて、いま孫がすすめている安保関連法案にいいことはあるのでしょうか。

それがあるのです。自分の国は自国の軍隊が守る。これは国際的にはあたりまえのこと

です。60年代の貧乏な日本が結んだ安保条約のうえにあぐらをかいて、いまやアメリ

カをもおびやかす経済大国になったくせに軍事力ではなんの協力もしない日本へのアメ

リカ国民のいらだちをしずめる。と、ちゃんといいことがあるのです。


さて、わが宰相殿は実際になにをやっているのでしょう。

日本の国会にはかるまえに、アメリカ議会で法案を成立させると宣言してしまう。日本

の領土を飛び越えて同盟国に向かうミサイルは撃ち落とす。半島から避難する日本人を

乗せた同盟国軍艦が攻撃されたら敵を攻撃する。離島に不審な人間が上陸したら、これ

を排除する。となりの火事が自宅に接する物置に燃えうつったらとなりに火を消しに行

く。などなど。これが安保関連法の必要性についてきちんと説明をしたことになるので

しょうか。

元防衛相高官が、「安倍首相は集団的自衛権について、ミサイルが飛んでくる絵や避難

民の乗った船の絵で説明したり、となりの火事のようなたとえ話をしている。これは国

民にはそのていどの説明をすればいいと思っているのか、あるいは集団的自衛権をその

程度にしか理解できないのか…」といっています。もし、後者であったら国民はどうし

ましょう。宰相を誤るとたいへんなことになります。


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