●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんも安倍首相の独走を心配してます。



ナルシスト


絵を描いているときも楽しいが、描き上げた時はもっと楽しい。

もう、極限まで描いたという満足感。出来た! という達成感。

早速、壁に立て掛け近づいたり遠のいたりして確かめる。

まさに自己満足の至福の境地である。つくづく我ながらナルシストだなあ、と思う。

四字熟語に自分で自分をほめる意味で自画自賛というのがあるが、画という字が入ってい

るからには、こうしたナルシストはまさに絵描きに多いのかもしれない。

ところが、最近政治家にも現れた。

強い日本、美しい日本、を標榜する安倍総理も相当なナルシストらしい。自分が欲する世

界にどっぷりつかって突き進んでいく。

「原発はコントロ−ルされている」「国民の安全と財産を守るために集団的自衛権容認を」

「自衛隊のリスクは大きくなりません」などとなんの気後れもなくおっしゃる。

絵を描いてナルシストに陥るのとはわけが違って、政治家のナルシストは影響大なので困

る。その証拠に日本を特別視するような不穏な空気や愛国といった内向きな風潮が漂い始

めているではないか。

最近、内田樹編「日本の反知性主義」という本が出て、俄然注目を浴び、ナルシストとを

「反知性主義」というらしい。

呼び方はどうでも良いが「反知性主義」には客観的な認識や実証的な裏付けがなく単なる

個人的妄想であることを知らなければならない。


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