3/2のしゅちょう
            文は田島薫

(戦争をなくす方法について 6)


古今東西戦争の始る原因を大雑把にひとことで言うと、広い意味での「利権争い」、って

ことになると思われるんだけど、戦争拡大の原因となると、相手に対する「敵意」ってこ

とになりそうで戦争は続くほどお互いがそれを拡大し続ける悪循環になるのだ。

まず、戦争開始の原因の利権問題はお互いの利害調整がうまくつけば戦う必要はなくなる

はずなのにそれが始っちゃうのは、どちらかが、進まない調停を自分に不利益なもんだと

感じて、もう面倒だぞ、怒ったぞ、ってここで感情的になるせいだろう、もっと根気よく

何度も何度も交渉すればいいじゃないか、って思うんだけど、自己主張が強硬になると、

相手の都合など眼中になくなるし、力のある方はそれで相手を押さえつけようとし、力の

劣る方は早くも相手への敵意の方が勝っちゃうためだろう。

外交交渉、ってものは多分高度な見識と相手を尊重する礼節とが必要なのだ。すぐに感情

的になって、じゃ、もういい、宣戦布告だ、なんて言っちゃうようなリーダーには勤まら

ないし、私は戦争反対でできるだけの努力したんだけど残念ながら気は進まないんだけど

この場合は国民の命を守るためには戦争もいたしかたない状況になってしまったようで、

集団的自衛権でこれに参加することになりました、って言い訳するリーダーにもだめだ。

とにかく、戦争開始を結論にするのは愚か者の証明、ってことになるのだ。

現実の今、より力を持つ方がそれに劣る方を力で抑えつけ、抑えつけられてる方がテロを

起こし、それに対し力のある方が敵意むき出しに倍返しの反撃をし、またそれをやられた

方がもっと敵意を育てる、って馬鹿馬鹿しい図式のくり返し。

米国など、軍事力に有利な方は力で相手を屈服させられると信じてるようだけど、敵意は

どんどん育って行けば時空を越えて戦争はエンドレスになるだろう。

他国との利害関係で揉めたり、敵意が育ったりするのは、相手のことをよく知らないせい

だろう、自国の国民についてはよく知ってて大勢の仲間に親愛感を持ってても他国の人々

のことはほとんどわからず、極端に言って妙なこと考えたり感じたりしてるエイリアンの

ように感じてたら、お互い、じゃ、やっつけちゃおう、って気にもなりやすいかも。

そう言う私も、他国の人々のことはあまりわからないし、稀に海外旅行に行っても、多分

どこの国でも人々はみんな観光客に対して外交辞令のような感じで対応してるんだろう、

って少し思ってた私の考えが先日裏切られた。

ロンドンの駅前で私と家人がある番号のバス乗り場を尋ねてみた背中に駅名の入ったジャ

ンパーのアジア系のおっさんは、われわれが出身国を尋ねたところ、テレマカシーの国だ、

って言って、われわれが英語を不得意だと思ったんだろう(当ってるけど)自分でもよく

知らないのにわれわれを引き連れ、近くのバス停に行き、そばにいたガードマンと長い事

それを調べて、別のバスと乗り換え場所をメモに書いて渡してくれた。駅の案内係りの可

能性もあると思ったんで、お礼を言いつつ£1銀貨を2つ手渡そうとしたら断られ、それで

も満足そうな笑顔でわれわれの言ったサンキューベーリーマッチを受け取って、自分自身

についても含めて感動してるように実直な瞳がうるんで見えた。

後で「テレマカシー」を調べてみたら、イスラム圏であるインドネシアやシンガポール周

辺のお礼の言葉で、「こころを、受け入れる」って意味だと知り、私の胸は詰まった。




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