しらんふり
きのうの陽が傾く頃、家人と近所のスーパーへビールその他を買いに行く途中の稲荷神
社の祠の前あたりにグレーとミケの小さい方がいた。われわれが、おーい、ってちょっ
と声かけたりしてみると、ねこさんふたり、こっち向いてから、ミケの方は祠の裏の方
へ逃げ、グレーは早歩きでこっちへ来た。お、来たか、ってふたりで立ってると、4〜
5段の石段を下りそばまで来たグレー、立ち止まるかと思ったら、素通りしてそのまま
左折、われわれのいる道の下り坂の方へ少し歩調をゆるめて歩いて行き、向こう向いた
まま、なにかあたりを見回してるそぶりなんで、われわれは反対の方向へ歩き出した。
いやいや、こ〜木と木と草のあるとこで遊ぶのはぼか〜大好きなんだよな、さ〜、遊ぼ
〜ぜ〜、つてるのに、こいつ、なんだかお参りしてんのかな、おいおい、しょーがない
ね〜、お、あっちでだちの2人組が呼んでるか、じゃ、そっちと遊ぶか〜、とととと、
ってぼくの足が勝手にそっち向いちゃってるね〜、ほらほら、来ましたよ〜、あり〜?
来い、つったわりに、この2人組あんまりうれしそ〜じゃないよ〜だね〜、そ〜いえば、
こないだも、遊ぶのかな?ってこっちがその気んなったのに、そのままぼくは置いてき
ぼりにされちゃったことあったし、ここは、あんまり甘い顔見せないで、ぼくは向こう
行っちゃうふりしちゃお〜、ほら、声かけて呼び戻すんなら今ですよ〜。 |