1/5のねこさん       文は田島薫

ひだまりの新人つーとん


新年の午後、家人が2階のベランダの下を指差しねこねこ、って言うんで見てみると、

山桃の木の下のわずかに陽が当ってる枯れ草の上で昔からおなじみ柄、グレーとホワ

イトのツートンカラーのねこさんが向こう向きに腹ばいになってた。

ふたりで、上からしばらくながめてから、家人がなんかやるもんないかな、って言う

んでふたりで考えてみたんだけど、ごはんはないし、パンは冷凍されてるし、ずっと

食わないで置きっぱなしのカニ缶開けてやるのもおしいんで、深皿にミルクでいっか、

ってやっと用意して、もう一度上から確認すると、ねこさん、少しちいさくなってず

れたひだまりの移動に合わせたらしいとこにおすわりしてるのが見える。私がミルク

皿持って玄関ドア開けると、気づいたねこさんささ、っと道路の向こうへ逃げた。


や〜、ここ、ちょ〜どおひさまが当ってて暖ったかくてよかったね〜、下の草もやわ

らかくてさ〜、このあたりじゃ、ここが一番居心地いい場所、ってことになるかもね。

ここで、うとうと、ってしちゃってさ、ってやってると、少し暖ったかさがなくなっ

てきたと思ったら、おひさまが当ってる場所が動いちゃったか〜、いやいや、おひさ

まも生きもんだったんだね〜、じゃ、こっちもそっちへ動いて、と、あり?さっきよ

り暖ったかベッドが小さくなったか〜?足伸ばさない方がいいね、も〜ちょっと体を

ずらして、と、この位置か、って言ってると、お、あっちからだれかが出て来た、や

ばいっ、こんなとこでちびちび移動してるばやいじゃないっ、ねこの大移動ー!


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