1/19のしゅちょう 文は田島薫
(老人を元気にさせる方法)
老人を元気にさせる方法、なんて他人事のように書き出したけど、人はだれでも日々老い
て行くわけだから、これはもちろん、明日かすでにきょうの私自身のこととも言えるわけ
なんだけど、わかりきったようなことをまたちょっと書いて新年のモットーにしたい。
きょうテレビで大竹しのぶさんが出てて、これは新聞コラムでも読んだ話だったんだけど、
よく聞くようなケースの話で、彼女の90才になる祖母が足を折って寝込んだ後、ガクッと
衰弱してしまい、食事もほとんどできないようになり、近所の医者に看てもらったところ、
薬や点滴させながら、無口な患者を前に、こういう症状は年令が年令なんだから仕方ない
ことだ、ってようなことを言って帰ってったんだと。
大竹さんは、このまま祖母が徐々に衰えて行って死んでしまうのを受け入れろ、って言っ
てる医者の言葉に納得行かなくて、なんとか打開策はないか、って考えたところ、以前自
分かだれかが体調くずした時それをコラムに書いたところ、それを読んだ未知の医者から
電話がありその指導に従ったところ見事な回復を見たことがあり、後にその医者の老人医
療についての著書を読んでたもんで、そこにあった連絡先に電話したそうだった。
すぐに若い42才のはつらつとした頼りがいがありそうな表情をしたその医者が助手をつれ
てやって来て、それを見た時、あ、これで祖母は助かる、って確信したそうだった。
医者は、まず薬をやめることを勧め、祖母にいろいろな質問をしたそうだった。生まれた
ところとか、幼少時代とか、戦争中どこにいたかとか、なにをどう感じて生きてきたかと、
祖母の人生を知るところから始め、終わりに、なにをしてる時が楽しいですか?って聞く
と、祖母は、家事、だって応えるんで、やってくださいよー、って、とはいうものの…、
といった流れになりがちなところを、是非どんどんやってください、って。
医者が帰った後、祖母は奇跡的に元気になり、食事もできるようになったんだと。大竹さ
んは、医者の言うように、祖母に料理なんかよく頼むようにしたそうで、もちろんなんで
も十分できるわけじゃないんで、あまり労力がかかり過ぎるようなことはさせないように
したそうなんだけど、今でも元気に台所で働いてるそうだ。
けっきょくその医者の診断は老人性うつ病だったそうで、人は自分が世話されるだけの不
要の存在になっちゃったのかもしれない、って感じた時にうつになるようだから、なんら
かの役割を自覚できることがいいのだ。
老いて体は衰えて来ても、別にふつうの日常生活に支障ない程度に動くんであれば十分な
はずなのに、ちょっと足なんか折っただけでそれが完全に失われてしまったような勘違い
を人はしてしまい勝ちだけど、動く範囲の頭と体をいつもフル回転してれば自然に元気は
湧いて出てくるんだ、と信じるのがいいのだ。われわれ生きてる全員が。
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