9/29のねこさん       文は田島薫

グレーさびしがる


昨日の夕方、家人とちょっと足伸ばした散歩から帰って来て、稲荷神社となりの家にね

こさんたちいるかな、って寄り道してのぞくとひっそりとしてて、だれもいなそうだっ

たんで戻ろうとすると、どっかからグレーが出て来てすでに足下近くにいて、すぐにわ

れわれのそばへ来て、家人、私、とじゅんぐりに背中をなでさせてはそばをすりすり歩

きまわってる。よ、おまえひとりか?などと言って、背中を断続的にさわったりしてか

ら、じゃ、って言って行こうとすると、そのままあたりまえのようについて来る。前に

もついてきて送り帰したこともあったんで、帰りな、って何度もそっちを指差したりし

たんだけど、とうとう坂を家の前まで下りて来てしまってから、なぜかそばのアパート

の前の貯水タンクの下行ったりした後、しらんぷりしてると、わが家の奥となりの家へ

のアプローチの方へ行ったりしてるんで、上から、おい、って言うと少し慌ててタンク

の下に戻ったりしてる。しょうがないんで、こっち、って指差しながら先に立って来た

坂を上って見せながら呼ぶと、なんとなくついて来るんで、神社前まで連れてってから

戻ろうとすると、またさっきと同じようにについて来てまた坂の下、ちょうどななめ向

かいの家の息子が道路をほうきで掃いてて、私が視線はずしてると、グレーはそっちへ

愛想よく寄ってったんで、そっちへまかせて私は家に入った。


いや〜、ぼくが帰って来んの遅かったせいか、だれもいなくてまいったね〜、おばさん

もまだ帰ってないよ〜だし、っていうか、ごはんが少し残ってたから、おばさんがエサ

出してから家入っちゃうしみんなもそれ食ってからどっか行っちゃった、ってことなの

かもしんないんだけど、きょうはなんだかみんなとわいわい話しながらごはん食ったり

わいわい遊びたい気分だったんだけどな〜、今の季節の今ごろの時間にぼくひとりぼっ

ちは、なんだかさびし〜ね〜、つってると、お、あの2人組だ、おばさんやみんながい

ない今だったら、このひとたちと思いきり遊んでも、だれにも気〜使うことないから、

よかった、すりすりすり、あそぼ〜あそぼ〜、お、そっち行くのか、じゃ、そっちで遊

ぶか〜、いやいやよかった遊ぶ相手ができて、ここ下りて、あんまりこっちは来ないん

だけど、さて、あり?遊ばないの?なんだよ〜、じゃ、帰るかな?あり?ど〜帰んだっ

たっけ?ここはどこだ?お、だれかが顔出した、だれだっけ?あれ?2人組のひとりか

〜、そ〜かそ〜か、遊ぶの、え?またあっちで?つってると、またこっちへ行くのか?

おいおい、この遊びはあんまりおもしろくないね〜、あり?も〜遊ばないの?あ、あっ

ちで笑ってるのがいるから、あっちのと遊ぶか〜、あそぼ〜あそぼ〜。


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