6/30のねこさん 文は田島薫
あんしんねこさん
先週はねこさん見なかったもんで、先々週の土曜の午後、家人と傘さして図書館行った
帰りに見たねこさんのあまりおもしろくもない話(なんだ、じゃ読むのやめちゃう)。
図書館で用を済ませ、駅の方でも用済ませ、低い丘を下って帰って来たころには雨もほ
とんど上がった感じで、われわれが歩いてる道の横道、アパートと民家の間のそれに、
中くらいのウス茶のねこさんが民家の方へ道を渡って行くのが見えた。ねこさん、ジャ
バラの閉った鉄の門扉の向こうへ入り、そこにあった軽乗用車の前にすわり、じゃばら
越しにこっちを見ている。われわれは、よ、とか、お、とか声かけてみたんだけど、こ
っちをだまって見てるだけなんで、われわれは、じゃね、って立ち去った。
や〜、まいったね雨で、あっちの屋根の下の広い場所行きたかったのに、こっちのコン
クリわきの狭いとこでやむのじっと待ってたんだよな、やっとやんだか、きしょーめ、
さて、あっちへいどーいどー、いどーはいーどー、なんちゃって、あり?なんか背中に
視線を感じるね、ふり返っちゃいけないふり返っちゃいけない、ふり返ると雨がぶり返
しちゃう、なんちゃって、よいしょ、ってここへ入っちゃえば、も〜こわいもんはない、
雨が降ろうが鬼がこようが、だいじょうぶ、ぼくの前にはこのがんじょうなもんがあっ
からね、お、やっぱり、あやしい間抜けな鬼のようなもんが2人こっち見てなんだかあ
やし〜こと言ってるね、でも、なに言われても相手にしなくてだいじょうぶ、却って、
こっちから、あっかんべー、って言ってやってもいいくらいだから、言ってやっか、あ
っかんべーおとといこいよ〜、って、思いきり言ってやった、こころん中で。