6/23のねこさん       文は田島薫

ミケが寝てる


きのうの午後、雨もやんだんで、近所のスーパーへ牛乳や納豆なんかを買いに家人と出

かけた帰りの稲荷神社となりの家の狭い庭。垣根からのぞくと縁側の前の台の上の発泡

の箱の中にミケの背中が見える。グレーももうひとりのミケもいなくて、背中見せてる

ミケさんだけがねこ日記のたよりなもんで、よ、とか、お、とか声かけながらしばらく、

ながめてたんだけど、愛想のいいグレーとちがって、ちっともふり向かない。しょうが

ないんで、じゃ、また、って言ってこっちも背中を向けた。


や〜、すごい雨だったね〜さっきゃ〜、しっかし、みんな、雨やんだとたんにどっか遊

びに行っちゃったけど、ばかだね〜、またいつ降ってくっかわかんね〜じゃね〜の、っ

てのに、も〜、ぼくはここを動かないね、ここにいれば屋根もあるし、寝床もあるしひ

と寝入りしてると、おばさんがごはんですよ〜、ってごはん出してくれるし。も〜、ぼ

くはここで一生暮らしちゃおー、ってようなもんなんだ。でも、ぼくはただ食っちゃ寝

してるだけじゃないんであって、起きてる時には、木さんや草さんや風さんとお話して

るんだよね。ほら、まただれかの声がするよ、あり?これはいらない方の声だったね、

そんなこともあるかと思って後ろ向いて寝てるんだよね。はやく行かないかな〜、いら

ない方の声。お、行った行った。さ〜、みんな話そ〜ぜ〜。


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