思いつくまま、気の向くまま
  文は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、思い当たることは忘れてないようです。



あなたは13点


わかいころのシャンさんを知る人は、これからのことを読むとニヤッとするにちがいない。


持病があったことと多くの身内の死に立ち会ったせいか死というものにある種の諦観があ

った。だから世上いわれる健康管理というものをせせら笑い好き勝手にやってきた。

ところが前号に書いたカップ事件を引き金に急に自分の健康状態が心配になってきた。


ちょうどタイミングをあわせるように、「それって認知症かも?」という新聞記事が目に

はいった。それは認知症の早期発見をすすめる記事で簡単な認知症検査ができるチェツク

リストがついている。20の設問があり、それぞれ「まったくない」「時々ある」「頻繁

にある」「いつもそうだ」と順に1点、2点、3点、4点と加算する。まったく心配がな

くても10点で20点以上なら「医療機関にご相談を」となっている。

さっそく頭を空すなわち邪心をはらってやってみた。

結果は、13点。実験には検証が必要との科学心がささやき(実はもうすこし小さな数字

が出ることを期待して)時間をおいてもう一度やってみた。

結果は、項目に変動があったが、また13点。

ふつうならこの結果で安堵するのだが、「まったくない」の基本点が10点。それの13

点ということは、30%は要注意状態にあるということではないか。

認知症30%要注意を意識すると、日頃のレジでの金額のまちがい(聞き違いではない)、

タバコを買う時によく百円玉と一円玉をまちがえる、買うものを書いたメモを見るのを忘

れる、などなどすべてが急に気になってくる。

他人には「人間というものは歳をとると生にたいする執着心がつよくなるものだよ。年寄

りが、もう私はいつ死んでもいいなんていうのはウソッパチさ。だけど自分はちがう」な

んて、したり顔でいっていたのになんということか。

もういちど書く。昔のシャンさんを知る人は、ニヤリどころか笑い転げることだろう。


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