●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、広告に触発されてなにかを思い出したようです。


お久しぶりスカート


新聞の記事下広告に、若い女性の膝丈スカートの裾が風に少しだけなびいている写真の

横に「ふわりとゆれる花びらスカート」というキャッチコピーが目に入った。

あ、いいな、と思う。

スカートの柔らかな感触、緊張感、高揚感がよみがえる。

思えば高校生までは定番の襞スカート。さらに大人になってTPOに合わせて、きちんと

感のあるファッションはやはりフレアーやタイトスカートが主でヒール靴と共にあった。

だけど、それも中年まで。

今や中年さえも過ぎている身では、しばらくスカートを履いていない。いったんパンツ

ルックにしてしまうと、その活動的な便利さと動作の気遣い不要なのと冬は寒さ対策も

手伝って手放せないのだ。

これはなんとしたことか。

女は40を過ぎると見られる側から見る側へと転換するという。つまり、人の目を意識

しなくなったおばさん化か、より合理的になっておしゃれより実用をとるのか、はたま

た単なるものぐさの老化現象か・・・(因みに私はすべて当てはまります)

ちょっと周りを見渡してみよう。なんとほとんどの女性がパンツスタイルではないか。

云わせてほしい。つまり、これは立派な流行なのだ。

流行とは、時代を映す鏡、女性の意識がなせる社会現象である。働く女性が増え活動的

なパンツルックは流行と実用が一致した立派なファッションの流れなのだ。その証拠に

パンツは種類も豊富で、スキニー、レギンス、ストレートからアンクルパンツ、ブーツ

カット、最近は柄パンツも出回り、好みを選んでおしゃれにまとめるのに事欠かない。

ところが、これだけ出揃うと食傷気味になるのが流行の副作用。流行に乗ってウキウキ、

猫も杓子も同じでゲンナリ、というのが流行の辿る道。

たまにはひらひら使い、ゆらゆら揺れるスカートをはいてみたい。

もはや、干からびる寸前のわが身を顧みて、せめて、着るもので女らしさを取り戻そう

と画策すれば何といってもスカート姿なのだ。

ただ間違ってもエアバス・スカイマークの客室乗務員のミニスカになってはいけません。

あれは男性の目を引くための商魂以外の何物でもないから。

韓国の連絡船事故を見よ。交通機関はいつ何時災難に逢うかわからないもの。ミニスカ

では救助活動もできないではないか。


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