3/24のしゅちょう             文は田島薫

(ロシアへの強硬策の問題点について


ウクライナの反政府デモなどによる政変で選挙などの民主的手続き抜きのまま親ロシ

アのヤヌコビッチ政権が崩壊し、親欧州の野党が勢力を増した、ってことで、ロシア

系住民が大多数のクリミアのロシア系住民からの過激デモもぼっ発、内紛拡大の恐れ

もあり、住民の安全確保の名目でロシア軍が出動し、その元での住民投票が行われ、

住民90%以上の賛成でクリミア議会はウクライナからの独立とロシア併合を決めた。

これに対し米国やEU各国はロシアの軍事介入を非難し、経済制裁を進めつつあるん

だけど、ロシアとの外交で北方領土返還などを実現したい安倍政権は、それに賛同し

つつも、強硬策にはそのまま乗ろうとせずに、各国やロシアとのより平和的解決に向

けての最大限の努力の必要を機会ごとに強調した。

対ロシア制裁に一致団結、ってスローガンの割に、各国歯切れが悪いのは、軍事介入、

と言っても、ロシアが新政権に実際に軍事攻撃してるわけでもなく、どっちかと言え

ば近年それをやってるのは非難側の方だし、クリミア併合には、欧州やロシア双方の

経済的軍事的利害が一番大きいわけで、当のクリミア住民の90%以上が併合を望んで

るんなら、それでいいじゃないか、ってことも言えるかもしれないのだから。

そういった曖昧状況に対して、米国やEUの多分自己利権がらみの強硬派は、ロシア

に理解を示すような軟弱外交をすればロシアの思うつぼで、御しやすい国だ、ってな

められてしまうのだ、などとよく言うんだけど、なめられないように強面(コワモテ)

する、って発想は他に手立てを見つけられない落ちこぼれ中高生などが仕方なく使う

テクニックであって、理性を持ってるはずの政治家がやることじゃないだろう。

理性ある政治家だったら、ロシアを追い詰めて孤立させ、それじゃいいさ、って開き

直られ、独断でやりたい放題させるんじゃなく(もちろん、制裁されてこりゃいかん、

ってロシアが反省する、ってこともないとはいい切れないかもしれないけど、これだ

と、こっちは怒ってるんで、あなたの方の理性待ちですからよろしく、ってことだか

ら、あんまり理性的とは言えない方策だろう)、お互いに「スネに傷ある身」、偽善

的正義づらやめて、ロシアの事情も充分聞いて飲み込み、自分たちの事情も披露し、

折衷案でもいいから、血を流さない平和的解決に導く、ってことが、各地で野方図に

行われてる非人道的内紛戦争収拾への手がかりにもなるだろう。

そういった意味で、今回の安倍さんの多数に流されない平和解決に向けた断固とした

姿勢は珍しく評価したい。




戻る