3/17のしゅちょう             文は田島薫

集団行動の馬鹿化について


わが浦和レッズのホームグラウンドで先日実に不名誉な失態がなされたようだ。サポー

ター入口にJAPANESE ONLY、って垂れ幕が、あるレッズサポーターグループによって

かかげられ、その差別的表現に気づいた観客からの訴えがあったにもかかわらず、レッ

ズ関係者たちのだれ1人、試合が終るまでそれを下ろさなかったのだ。

そのニュースを最初に聞いた時、英語をよく知らないサポーターや関係者が間違った表

現や解釈しちゃったんだろう、だから、わからない言葉はやめろ、って言うんだ、って

思ってたところ、どうもそうじゃなくて、少なくとも当のグループは「日本人だけ」し

か入っちゃいけない、ってその通りの意味で掲げたらしい。外国の観光客なんかがネッ

ト裏にまぎれると応援の統制がとりにくくなるから、ってことのようだった。

決して人種差別的な意味合いじゃないんだ、って言うんだけど、熱狂的サポーターの集

まるスペースなんで、賛同した方でできればレッズのユニフォームかもしくは赤いTシ

ャツでリーダーの号令で一緒に動いていただけたら幸いです、ってお願いするならまだ

しも、日本語もよくわからないトロイのは応援の邪魔だから入って来ちゃだめだ、って

ような表現がいいわけないのだ。

そんなことは常識で考えればだれでも気づきそうなもんなんだけど、常識が通らなくな

るのが集団行動の恐さで、集団の中にいると、もう自分で判断する必要がない、って、

人は感じるようになり、さらには、自分の判断の必要がないばかりか、それをすると、

却って全体の和や統制を壊すことになるから、むしろ、自分の判断はしちゃいけないの

だ、ってような方向へ行きがちなのだ。

それに、サッカーの応援、ってもんはもともと遊びなんだし、それでだれかの命がかか

ってるとか、って問題じゃないわけだし、判断不要で、適当にみんなと合わせてれば問

題ない、ってところなんだろう。

そういった時、応援にインパクト増したい、って考える熱狂的サポーターのだれかが、

なんらかのリードを始めると、けっこう批判もなしにみんな大人しくついてくる、って

ことになるわけで、リーダーも調子づきどんどんエスカレート、歌劇カルメンのメロデ

ィーに勝手な応援言葉つけたのなんかをみんなに合唱させたり、もうなんだか北朝鮮か

なんかの宗教集会か〜?と見まがうばかり。

ま、みんなで馬鹿んなって大声でいっしょに騒ぐのも楽しいことだろうし応援なんだか

らかまわないんだけど、みんなしてほんとの馬鹿になっちゃいけないのだ。

たまには、こう、みんなで大声やってるけど、だれかを傷つけちゃいないだろうか、っ

て時々自分の頭でチェックしたり、時には反論することも必要なのだ。みんなと一緒に

同じ行動してさえいれば自分が後から責任追求されることはないから問題ない、って思

考停止してるようじゃ今の自民党議員たちと同じレベルに成り下がっちゃうのだ。




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