思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、わりあい信心深いタイプのようです。
今年の恵方は「東北東」
1月も末になるとコンビニやスーパーの店頭は、恵方巻きとチョコレートで埋めつくされる。
節分とバレンタインデー。なんとも珍妙な組み合わせだが商魂はそんなことおかまいなし。
バレンタインデーのバカ騒ぎはともかく節分がこれほど騒がれるようになったのは、関西か
ら恵方巻きとやらが関東にやってきてからだ。
老妻に「恵方巻きなんていう贅六の食い物を、なんで関東人が受け入れるのだろう」とこぼ
すと、「おいしいものはなんでもいいのよ」とかわされてしまった。
しかし、いくらおいしくても関西味で受け入れられないものはたくさんある。やはり売り方、
商才のなせるわざであろう。ふだんは方角なんて気にしない人たちも「今年の恵方は」
なんてやられるとその気になるものだ。
今年の商才はすごい。スーパーの店頭には、「恵方スイーツ」「まるかぶり大福」「節分そ
ば」といままで聞いたことのないものがならんでいる。ロールケーキ、大福、そばにもっと
もらしい理由をつけて節分にこじつけているのがすごい。
今年は野暮用にふりまわされて「ニーハオの豆を撒いて春なんかくるものか」の店に豆を買
いに行けなかった。しかたがないのでスーパーへ出かけたら先に書いたような景色がひろが
っていた。
去年までスーパーの豆は「ニーハオ」の豆が多かったのであきらめ半分で節分グッズのなか
から福豆と書いた袋を手にとってみると国産と書いてある。よく見ると大手の豆専門の会社
の製品であった。最近の中国産食品の不評を意識してのことだろう。
それを一袋買い物カゴに放り込んで他の買い物に店内を回っていたのだがなにかおちつかな
い。もういちど節分グッズの売り場にもどると落ち着かない原因はそこにあった。
袋入りの豆のほかに升に入った豆もある。升といっても紙でできた簡単なものだが、どうし
てもそちらのほうがいい豆にみえる。そうなるともう脳みそのコントロールができない。結
局両方買ってしまった。あとでよくみると同じ会社のもの、見栄えにだまされた。
節分にうかれ、みごと商才にのせられたあたしの恵方は「東北東」。