2/17のねこさん       文は田島薫

こっち来たねこさん 2


大雪が上がって晴れ間が出た昨日の昼過ぎ、とりあえずのビールと食料買いに近所のスー

パー行った帰り、稲荷神社となりの家のぞくと、グレーがひとりで発泡の箱に寝そべって

て、すでにふり返ってこっちをじっと見てる。こっちも、両手ふさがってたもんで、よ、

ってでかいレジ袋持ったままの手を上げて合図した。それ見てちょっと考えた顔したグレ

ー、立ち上がってこっちへ来て、垣根の間から顔出すマネしてから、今度はちょっと戻っ

て、よこの垣根のすき間から出てこっちへ寄って来た。私はレジ袋をもう片方の水タンク

持ってる手にいっしょに持ちかえて、空いた手でグレーの頭なでた。グレーはそのままさ

らにこっちの足元の後ろに回ったりしてから、こっちがまた頭なでようとするのを、なに

気なさそうにスルーして水たまりの向こうへ戻ってこっち見てる。こっちも、なんか、話

しかけたりしてから、特に話題もないんで、じゃ、つって引き返した。ふり返るとグレー

はこっちをなんだか見送ってる。


や〜、きのうはなんだかしとしとしててさみかったんだけど、きょうはそれほどでもなく

てよかったよかった。しかし、みんなやおばさんはどこ行っちゃったんだろう。なんだか

腹へってきちゃったね〜、あり?いつも来るへんなのがきょうはひとりで立ってるね〜、

なんかおっきな袋をぼくに持ち上げて見せてるぞ、なんだなんだ、あ、そっか、ぼくに、

なにかおいしいもの持って来てくれたってか、いや〜、はやく言ってよ〜、じゃ、すぐ行

くからね、おっと、こっからじゃもらえないか〜、じゃ、こっちから出て、とととと、は

やくなんかくれ〜、っつってると、おっと、頭なでるか〜、ちゃうちゃう、なんか、お・

い・し・い・も・の、をちょーだいっ。おっと、ど〜したど〜した、なんも出てきまへん

でっせ、おいおい、そんなこと言ってる間に帰っちゃうよ、なんてやつだ、ば〜ろ〜。


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