思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、ぼーっと白い世界に遊んだようです。
オリンピックそして大雪
オリンピックは、フィギュアスケートしか興味がないと言っていた老妻が、突如「あの聖火
台にどうやって火をつけるのか見たいから開会式は見る」と言いだした。
放送は午前一時から。普段そのころに寝るのだから平気で起きていられると言ってテレビを
見始めた。ところが、二時をまわっても聖火が灯るけはいがない。寝ぼけ眼で老妻が「ねえ、
聖火まだなの」というから「聖火は最後のほうだろ」とこたえると「わたし寝るからそのと
き起こして」といって寝てしまった。なんと老妻は、聖火というものは開会式の最初に点火
するものだと思っていたそうだ。しかたなく三時すぎ、聖火が灯るころ老妻を起こして寝た
のが四時すぎ。というわけで開会式を全部観てしまった。
寝不足の目をこすりながら起きたその日は午後から雪になった。天気予報では大雪になると
いっていたが、どうせ都市部の雪はたいしたことはないだろうと高をくくっていたら夕方ち
かくになって本当の大雪になってきた。
こうなるともちまえの野次馬根性がだまっていない。カメラ片手に大雪の中にとびだした。
外に出てみると風が強い。部屋からみるのとはおおちがいであった。とくにこのあたりは隣
の公団の建物のおかげでビル風になっている。なんのこのくらいはスキーをやっていたころ
はあたりまえ、と役に立たなくなった傘をたたんで歩き出すと日頃見なれた景色が雪におお
われてまったくちがった姿を見せてくれている。雪と言うものはいいいものだ。
途中これはという景色をみつけてカメラを向けるとき無意識にレンズを拭いている。それに
気がついた時、「わが写真屋魂いまだ衰えず」と自分で自分をほめて歩き回ること一時間。
途中おもしろいものをみつけた。風が強すぎて雪が積もらないところにすばらしい造形があ
った。やはり雪はいいものだ。(聖火写真:東京新聞)